竈かまど
物語のなかに19回あらわれることば
土や石で築き、上に釜や鍋をのせて火を焚き、煮炊きをする設備。「へっつい」とも。
ことばの由来
語源は諸説あり定かでない。古くは竈神(かまどがみ)・荒神が宿る場として信仰され、一家の象徴ともされた。「へっつい」は近世以降に広まった異称と伝わる。
[参考文献]石毛直道 『日本の食文化史——旧石器時代から現代まで』岩波書店
この語が息づく話
- 02月は、まっすぐ見ないものだった、盃のなかでは
- 07山あいの寺で、夜明け前に鐘楼へのぼる、ひとりの男
- 30土佐の宇佐の浜で、煤けた小屋の三本の節に付いた三つの値
- 42十杯の乳を、ひとかたまりに煮つめる夏の竈
- 43たねの家の二升の糯米と、暮れの里に鳴る臼の音
- 50禅寺の裏木戸に積まれた、幾つもの崩れた白い塊
- 77峠のふもとで分けた、白く乾いた一にぎり——旅人が腰から離さなかったもの
- 79椀の底の飯粒ひとつを、指先でぬぐっていた鎌倉の老いた飯炊き
- 82雨の日の下駄屋、勘右衛門の歯入れの手もと
- 88七たび沈めた白布と、甕の泡
- 92肌の下に隠れていた、袖の細い一枚
- 102白い山の前で、指がさきに動いた、竈の子のこと
- 105沓の底に隠れた、もう一枚の白い布——「襪」のこと
- 112柳に紙を結び、火を落として、なお人を思う——凶を避けて身を慎んだ「物忌み」のこと
- 116円座——売る一枚と、継ぎ接ぎだらけの一枚
- 122羊のいない羊羹、禅寺の台所で重ねた十一度の作り直し
- 123粉のほとんどを流し捨てて、なお椀に残った白い塊
- 139半値で売る辻の油と、桝の縁に札を打つ店
- 141底の透けたわらじを履き替えて、日本橋を発った飛脚
※ 語の読みは本文の振り仮名から、登場話は本文から機械的に集めています。定義・由来は出典を確かめたうえでそえています。