硯すずり
物語のなかに9回あらわれることば
墨を水でこすってすり、書くための墨汁をつくる、石などでできた文房具。
ことばの由来
語源は「墨磨り(すみすり)」の転じたものとする説などが知られるが諸説あり定かでない。硯そのものは中国から伝わり、古く筆・墨・紙とともに文房四宝の一つに数えられた。
[参考文献]八鍬友広 『読み書きの日本史』岩波書店
この語が息づく話
- 08神さまへ届ける、一頭の馬のこと
- 21春を運ぶ一枚
- 32墨が濃くなるのを待つあいだに、人は半分、もう書いていた——一字を記すまえの、しずかな手間のこと
- 64ひとりの歌が、座にいならぶ皆で継ぐ言葉の遊びになっていった日のこと
- 66扉を開けば、それは「しまう」ではなく「飾る」になった——書物と調度を納めて誇った、厨子という棚のこと
- 72声が、そのまま紙にのった日——漢字をくずして生まれた、やわらかな女手のこと
- 95名のなかった家に、名がひとつ生まれた日のこと
- 110言わずに言う、というやり方——三十一文字を返し合って、人は想いの行き来を覚えた
- 128骨に紙を貼ったただの仕切りが、絵を負って部屋の「面」になっていった日のこと
※ 語の読みは本文の振り仮名から、登場話は本文から機械的に集めています。定義・由来は出典を確かめたうえでそえています。