藁わら
物語のなかに39回あらわれることば
稲などの茎を干したもの。履物・筵・縄・屋根葺きなど、暮らしの道具を編む基本の素材として古くから使われた。
ことばの由来
稲作とともに用いられてきた素材で、「わら」の語は上代から見える。語源についてははっきりせず、確かなことは分かっていない。
[参考文献]宮崎清 『図説 藁の文化』法政大学出版局/宮本常一 『民具学の提唱』未來社
この語が息づく話
- 05西国三十三所、旅人たちが道々に残した草鞋の山
- 08平四郎が杉板に描いた、神さまへの一頭の馬
- 09太鼓の台の縄と灯籠と、息子の草履を抱いた老婆
- 11三輪の里の縄に結ばれた印は、何を数えていたのか
- 17三百そろいの貝を、値と日限だけで注文した男がいた
- 18戸口に残された、青みがかった石
- 22堺の菓子屋、七日目の鍋の粒
- 24村のはずれの石の根に、草鞋が掛かっていた
- 29最後に食べたいと、老婆は言った
- 31飛鳥山の午後に、毛氈の四隅へ石を置いた老人
- 33銀杏の枝に掛けられた、旅の尼の地獄絵と極楽絵
- 34火鉢ひとつと、栗十粒、それから隣の爺さまの欠け皿
- 35山の氷室から都の門まで、夜のうちに運ばれた、夏のひとかけら
- 37捨てるはずだった煮豆が、藁苞のなかで糸を引いていた
- 40皮屋の小屋の梁から子がおろした、二枚の皮の切れ端
- 43たねの家の二升の糯米と、暮れの里に鳴る臼の音
- 47暮れの橋のたもとで売られていた、七人乗りの宝船
- 54五つの塚と、名を残さなかった女房の掌
- 56雨宿りの軒先で、藁の目を数えていた小さな指
- 58神田の長屋に、畳一枚を入れたおすみの算段
- 61山あいの母が選んだ三言
- 63山あいの村で、豆を煮る八郎太の釜と二夏越しの壺の蓋
- 68板を寄せて竹の輪で締めただけの、継ぎ目だらけの桶
- 78ラヂオ屋の銀次が屋根に線を張った冬、長屋は夕方の声を待った
- 81継ぎの上に、なお白い糸を刺す雪の里の夜
- 88七たび沈めた白布と、甕の泡
- 96瀬戸の山あいで、偏屈な宗吉が焚いた窯と青い釉
- 100東の市の隅、壺の底で指が日数を数えていた
- 103若狭の浜で、あみが鯖を糸のように裂いていた
- 116円座——売る一枚と、継ぎ接ぎだらけの一枚
- 120車輪が軋んだ大路で、耳をすませていたのは小さな手だった
- 121邸にこもっていた女が、はじめて山道を踏んだ
- 130一軒の屋根を葺くために村じゅうが寄り合った、あの草の重なりのこと
- 137九枚の絵を綴じて里へ納める、手彩色の薄い一冊
- 138七頭の列のうち縄を一本だけ切った、湖から京へ米を運ぶ峠道
- 139半値で売る辻の油と、桝の縁に札を打つ店
- 141底の透けたわらじを履き替えて、日本橋を発った飛脚
- 144長崎から来た硝子売りと、軒の鈴に首を振った本所の大家
- 146今橋の店先で天秤の皿に載った、旅商人の銀の包み
※ 語の読みは本文の振り仮名から、登場話は本文から機械的に集めています。定義・由来は出典を確かめたうえでそえています。