ボクの足取り
商いを生業に、ボクは人の集まる地へ流れていきました。 千年のあいだにどの土地でどんな暮らしを見てきたか——地方ごとにたどれる索引です。 据えアンカー(各話の冒頭に置いた〔時代・所〕)から自動でまとめています。
全115話(公開分)。所を語らなかった話は末尾にまとめています。
山城(京)
58話- 平安のころ第42話醍醐味という言葉の、ほんとうの味〔都のはずれ〕
- 平安のころ第1話名を捨てた朝に、童は大人になった——はじめて冠を戴き、新しい名を名のった日のこと〔京(平安京)〕
- 平安のころ第2話月は、まっすぐ見ない——水と酒に映して愛でた、都びとの遠回しな贅沢のこと〔京〕
- 平安のころ第14話半年ぶんの汚れを、紙の人形にうつして流す——「水に流す」という言葉の、いちばん古い手ざわりのこと〔平安京(鴨の河原)〕
- 平安のころ第15話曇った銅の向こうに、女はだれの顔を探したのか——自分を見るのが、まだ稀だったころの鏡のこと〔平安京(西の京)〕
- 平安のころ第17話合わせてみれば、答えはもう貝が知っていた——蛤の殻でさがした、たったひとつの片割れのこと〔京(四条あたりの邸)〕
- 平安のころ第19話灯ひとつが、昼と夜を分けていた——油皿のあかりを惜しんで暮らした、夜がいちばん暗かったころのこと〔京の都〕
- 平安のころ第25話誰も勝たない遊びに、なぜ人はあれほど夢中になったのか——落とさぬことだけを願った、雅な鞠のこと〔京〕
- 平安のころ第28話今日が何の日かを、暦が教えてくれた——日づけに吉凶を書きそえた、日記のはじまりのこと〔京〕
- 平安のころ第32話墨が濃くなるのを待つあいだに、人は半分、もう書いていた——一字を記すまえの、しずかな手間のこと〔平安京〕
- 平安のころ第35話山の奥の闇に夏まで眠っていた氷を、姫君のひと匙のために、汗だくで都へ運んだ日のこと〔平安京〕
- 平安のころ第36話落ちた櫛は、決して拾ってはならなかった——髪に魂が宿ると信じた頃の、櫛をめぐる作法のこと〔京(東の市)〕
- 平安のころ第39話一字書いては、三たび額づく——文字を写すことが、そのまま祈りだったころのこと〔平安京(東のはずれの写経所)〕
- 平安のころ第41話黒と白の石だけで、盤の上に国境を引く——男も女も向きあえた、平安の静かな遊びのこと〔京〕
- 平安のころ第45話東へ行くのに、なぜ人は南へ泊まりにいったのか——方角の吉凶が暮らしを縛っていたころのこと〔平安京〕
- 平安のころ第46話山ほどの花から、ひと匙の赤を搾り取っていた頃のこと〔京の西のはずれ〕
- 平安のころ第54話臭いだけの欠片を練り合わせると、人を恋しがらせる匂いに化けた——香りが人の名札だった頃のこと〔京(平安京)〕
- 平安のころ第57話頭のてっぺんを隠さねば一人前ではなかった、そのころの男たちのこと〔京の三条あたり〕
- 平安のころ第62話奇数の夜ごとに、人は灯をともして集まった——子の生まれた家に、産着と祝い膳が通った話〔平安京〕
- 平安のころ第66話扉を開けば、それは「しまう」ではなく「飾る」になった——書物と調度を納めて誇った、厨子という棚のこと〔都(五条わたり)〕
- 平安のころ第69話黒く染めてこそ、一人前——白い歯を恥じた頃の、鉄漿(かね)のはなし〔平安京〕
- 平安のころ第72話声が、そのまま紙にのった日——漢字をくずして生まれた、やわらかな女手のこと〔平安京〕
- 平安のころ第73話写し間違いごと、物語は旅をした——刷る術のない頃、一冊の草子が手から手へ渡っていったこと〔平安京(五条あたり)〕
- 平安のころ第84話その薄い一枚は、外から内を隠し、内から外を残らず見せていた〔京〕
- 平安のころ第85話流したのは、捨てたのではない——紙の人形に病を移して見送った、雛のいちばん古いかたちのこと〔平安京〕
- 平安のころ第89話散りゆく春を、ひとすじの色に閉じ込めて袖に纏った娘のこと〔都の東の京〕
- 平安のころ第90話暑くもないのに、なぜ都じゅうが一日で夏の衣に着替えたのか〔京の内裏〕
- 平安のころ第94話裳をひと垂れ腰に結べば、その日から子は女と呼ばれた——髪を上げ、装束を着けて大人になる日のこと〔平安京(貴族の邸)〕
- 平安のころ第97話壁を立てず、布で部屋をこしらえた——几帳の陰が、人と人の「間」をつくっていたころ〔平安京(西の京)〕
- 平安のころ第98話なぜ人は、何ごともない年を、わざわざ恐れたのか——齢の節目に厄を払った、いちばん古い習わしのこと〔平安京(左京)〕
- 平安のころ第100話壺の底で、豆はゆっくり塩に溶けた——味噌でも醤油でもなかったころの、どろりとした塩辛さのこと〔平安京(左京)〕
- 平安のころ第102話白い飯は、炊くのでなく蒸すものだった——甑の湯気がハレを運んだ、固い飯のこと〔平安京(左京)〕
- 平安のころ第104話野で身軽に動くための一枚が、御殿のくつろぎ着になるまで——「狩衣」と呼ばれた普段着のこと〔平安京〕
- 平安のころ第105話素足を見せぬという作法が、足を一枚の布で包ませた——沓の下にひそむ「しとうず」のこと〔平安京〕
- 平安のころ第106話裾を絞れば、袴は走る人のかたちになった——歩くたび、座るたびに形を変えた、ひとすじの紐のこと〔平安京(左京)〕
- 平安のころ第107話壁のない広間に、几帳を一つ立てれば、そこが部屋になった——間仕切りで暮らしを区切った、住まいの「あいまいさ」のこと〔京(左京)〕
- 平安のころ第108話光と風は、跳ね上げて招くもの——格子の戸を吊って開けた、ある夏の屋敷のこと〔平安京〕
- 平安のころ第109話野の谷川を、庭のすみに連れてきた——細い水ひとすじに、人が自然を写しはじめた日のこと〔平安京(左京)〕
- 平安のころ第110話言わずに言う、というやり方——三十一文字を返し合って、人は想いの行き来を覚えた〔京(西の京あたり)〕
- 平安のころ第111話言葉に色をつけ、香を焚きしめ、枝を添えて——人が「気持ちを運ぶ器」を作りはじめた、ある春のこと〔平安京〕
- 平安のころ第112話門に札を貼り、灯を落として、ただ一日をやり過ごす——凶を避けて身を慎んだ「物忌み」のこと〔東洞院あたり〕
- 平安のころ第113話祟りだ、と人々は門を閉ざした——疫病を運ぶ「祟る霊」を、祭りに変えて鎮めた都のこと〔京(平安京)〕
- 平安のころ第114話薬のない夜、人は手を合わせるしかなかった——祈ることが、いちばん古い「手当て」だったころのこと〔京(洛中)〕
- 平安のころ第86話届かぬ星に、それでも願いを書いた日のこと〔都〕
- 平安のころ第13話畳んで、ひらく——海を渡っていった風のこと〔都〕
- 鎌倉のころ第75話闇い板間へ、紙ひとはりの昼を入れてやった日のこと〔京の町〕
- 鎌倉のころ第74話ひと粒ずつ珠を手繰り、亡き子の名を夜ごと繰り返していった母のこと〔京の近郊の里〕
- 南北朝のころ第76話白い皮を割ったとき、湯気の奥からこぼれ出た甘さに、男が思わず天を仰いだ日のこと〔南都奈良〕
- 室町のころ第34話寒い家のまんなかに小さな火を据えて、人の寄り集まった日のこと〔京の町なか〕
- 室町のころ第49話座敷でも庭でもない一枚の板敷きに、人がいちばん心をほどいて腰かけた日のこと〔京の近郊の村〕
- 室町のころ第64話ひとりの歌が、座にいならぶ皆で継ぐ言葉の遊びになっていった日のこと〔京の寺の連歌の座〕
- 室町のころ第68話細い板を円く並べ、竹の輪で締めただけの器が、暮らしのすべてを蓄えていった日のこと〔京の酒屋と桶屋〕
- 室町のころ第92話下着だったはずの小さな袖が、表へ躍り出て人の装いになっていった日のこと〔京の町〕
- 室町のころ第53話畳んで懐に入る灯りが、はじめて夜の闇に一本の道をつけた日のこと〔京の門前町〕
- 室町のころ第71話何もない一畳の板間に、人がはじめて花を掛け、格を宿らせた日のこと〔京の武家屋敷〕
- 室町のころ第70話軒に垂れた一枚の布が、店の名を背負って代を継いでいった日のこと〔京の商家〕
- 室町のころ第80話手折ってきた草木を、ただ挿すのではなく「立てた」男がいた話〔京の寺と書院〕
- 安土桃山のころ第40話素足を恥じた若者に、紐で結ぶ一足を縫ってやった日のこと〔京の片隅〕
武蔵(江戸・東京)
14話- 1122年ボクは、田が街になるのを見ていた〔武蔵の川辺〕
- 江戸の半ばごろ第31話桜の下に、身分はなかった〔飛鳥山〕
- 江戸のころ第58話板の間に、青いひとひらを〔神田の裏長屋〕
- 江戸のころ第6話裸になれば、みな知り合い〔裏長屋〕
- 江戸のころ第3話自分の名を、はじめて書けた日のこと〔神田の裏長屋〕
- 1832年第82話歯の減るほどに、粋になる〔天保の下町〕
- 江戸のころ第23話闇に一刻の灯をともし、夜なべの母と子が縫いついでいった日のこと〔神田の裏長屋〕
- 明治のころ第95話名のなかった家に、名がひとつ生まれた日のこと〔東京近在の村〕
- 明治のころ第99話こうもり傘の波に押されて、古びた蛇の目を張り替えてやった日のこと〔東京の傘屋〕
- 1907年第21話春を運ぶ一枚〔東京〕
- 大正のころ第55話消えるはずの声を盤に刻み、もう会えぬ人の歌を家で甦らせた日のこと〔東京の町なか〕
- 大正のころ第51話苦い黒の一杯を前に、見知らぬ者どうしが半刻を分けあった日のこと〔東京の場末の喫茶〕
- 1933年第12話続きは、またあした〔東京〕
- 昭和のはじめ第78話姿の見えぬ遠くの声が、空をわたって長屋の茶の間に降りてきた日のこと〔東京の裏長屋〕
関東・甲信
6話近江
5話摂津(大坂・堺)
4話大和(奈良)
3話相模(鎌倉・横浜)
2話山陽・西国
1話四国
1話尾張・美濃
1話その他の地
13話- 平安のころ第61話言葉という、いちばん古い荷物〔山あいの里〕
- 平安のころ第101話仏に供えた甘みが、子の口へ落ちてくるまで——油で揚げた渡来の菓子が、人の祝いごとになった話〔東の寺)〕
- 鎌倉のころ第59話いちばん幼い口が、いちばん淋しい歌を〔里の寺〕
- 鎌倉のころ第24話村のはずれに、石が立っていた〔街道の里〕
- 室町のころ第81話一目、また一目〔雪の里〕
- 室町のころ第7話ひとつの鐘の音が、町じゅうの朝を、いちどに揃えていった日のこと〔ある寺と門前の町〕
- 室町のころ第33話上等な地獄〔村の寺の境内〕
- 戦国のころ第88話勝ち色、と人は呼んだ〔在郷の染め場〕
- 戦国のころ第9話死んだ人に会える、夏の夜〔盆地の村〕
- 戦国のころ第93話いちばんしぶといもの〔荒れた村の空き地〕
- 江戸のころ第47話おなじ船に、見知らぬ神さま〔正月〕
- 1793年第10話細く、長く——年の瀬にすするもの〔寛政の市中〕
- 大正のころ第26話祖母の無地と、娘の薔薇のあいだで〔町の呉服店〕