そろそろボクの話をしようか
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全話一覧(時代順・テキスト)
平安(63話)
第01話 京のある家で、冠を納める箱には傷が五つあった
第02話 月は、まっすぐ見ないものだった、盃のなかでは
第04話 海を知らぬ里へ、ひとつまみの海を背負っていった日のこと
第13話 畳んで、ひらく——海を渡っていった風のこと
第14話 一年に二度、紙の人のかたちへ汚れを移して流す日——長和五年、鴨の河原の大祓
第15話 邸にただ一枚の鏡に、姫がはじめて見た顔——自分を見るのが、まだ稀だったころの鏡のこと
第17話 三百そろいの貝を、値と日限だけで注文した男がいた
第19話 灯ひとつが、昼と夜を分けていた——油皿のあかりを惜しんで暮らした、夜がいちばん暗かったころのこと
第25話 幾人の足を渡って、地に落ちなかった京の鞠
第27話 ボクの、たくさんの「わたし」のこと
第28話 吉凶を書きそえた暦にも、白いところが残っていた
第29話 最後に食べたいと、老婆は言った
第32話 急いだ文と、待った文——同じ手から生まれた、二つの黒
第35話 山の奥の闇に夏まで眠っていた氷を、姫君のひと匙のために、汗だくで都へ運んだ日のこと
第36話 京の東の市に、歯の数だけを数える男がいた
第39話 一字書いては、三たび額づく——一字ごとに、三度、頭を下げていた人々のこと
第41話 黒と白の石が、いちばん静かだった遊びのこと
第42話 醍醐味という言葉の、ほんとうの味
第43話 年の暮れ、臼の音が里じゅうに鳴りわたった日のこと
第45話 東へ行くのに、なぜ人は南へ泊まりにいったのか——見も知らぬよそ者ひとりの言葉から
第46話 山ほどの花から、ひと匙の赤を搾り取っていた頃のこと
第52話 蔦の汁を椀半分の蜜にするまで、冬の山を歩きつづけた翁のこと
第54話 五つの塚と、名を残さなかった女房の掌
第57話 頭のてっぺんを隠さねば一人前ではなかった、そのころの男たちのこと
第61話 言葉という、いちばん古い荷物
第62話 奇数の夜ごとに、人は灯をともして集まった——子の生まれた家に、産衣と祝い膳が通った話
第66話 厨子のいちばん良い場所に、欠けた椀ひとつが据えられていた
第69話 鉄漿壺の見立てと、姫君の白い歯——鉄漿(かね)のはなし
第72話 反古の山と、一枚の文
第73話 借りた一冊の草子に、幾つもの手が重なっていた
第77話 水につければ、飯は旅立ちの朝にもどった——干した米が運んだ、いちばん古い「即席めし」のこと
第84話 その薄い一枚は、外から内を隠し、内から外を残らず見せていた
第85話 白い紙のひとがた——姫君が手を振った、もう一つの雛のこと
第86話 届かぬ星に、それでも願いを書いた日のこと
第87話 飯を捨てて魚を食う——酢より古い「酸っぱい寿司」のはなし
第89話 散りゆく春を、ひとすじの色に閉じ込めて袖に纏った娘のこと
第90話 暑くもないのに、なぜ都じゅうが一日で夏の衣に着替えたのか
第94話 白い裳の陰で、幾たびも解かれていた赤い糸のこと
第97話 壁を立てず、布で部屋をこしらえた——几帳の陰が、人と人の「間」をつくっていたころ
第98話 一枚の紙人形は、何を運び去ったのか——齢の節目を恐れた、古い習わしのこと
第100話 東の市の隅、壺の底で指が日数を数えていた
第101話 唐菓子は、頼んだ数より、いつも三つ多く仕上がった
第102話 白い山の前で、指がさきに動いた、竈の子のこと
第103話 若狭の浜で、あみが鯖を糸のように裂いていた
第104話 窮屈な袍を脱いだ若君が、選んだあの一枚のこと
第105話 沓の底に隠れた、もう一枚の白い布——「襪」のこと
第106話 駆け出した若君の裾と、乳母がくぐらせた一本の紐
第107話 几帳の裾に置いた三つの石——よそから来た男が都の邸に持ち込んだ、壁のかわりの工夫
第108話 戸を、ひとり吊りあげる手——四十年、屋敷を起こし続けた老爺のこと
第109話 二度、崩された溝——庭師とくと、庭のすみの谷川
第110話 歌を人に頼むということ——三十一文字と、紙と枝の日々
第111話 紙に色をのせ、香をたきしめ、花を添えて——恋文をこしらえた人々
第112話 柳に紙を結び、火を落として、なお人を思う——凶を避けて身を慎んだ「物忌み」のこと
第113話 祟りだ、と人々は門を閉ざした——疫病を運ぶ「祟る霊」を、祭りに変えて鎮めた都のこと
第114話 じゃら、じゃらと鳴る数珠と、母のひと晩の枕もと
第115話 脚をつけて、暮らしを箱の中へ畳んだ——衣も書も器も呑みこんだ、渡来の収納箱のこと
第116話 円座——売る一枚と、継ぎ接ぎだらけの一枚
第117話 米のとぎ汁が黒髪に艶を与える——泔坏を仕込む下働きの手
第118話 歌合の夜、引き分けと判じられた一首の裏に、幾度も書き潰した跡があった
第119話 海を渡ってきた音が、宮の調べになるまで——耳から耳へ手渡された、龍笛のひと息のこと
第120話 車輪が軋んだ大路で、耳をすませていたのは小さな手だった
第121話 邸にこもっていた女が、はじめて山道を踏んだ
第515話 ボクは、田が街になるのを見ていた
鎌倉(10話)
第24話 村のはずれに、石が立っていた
第59話 いちばん幼い口が、いちばん淋しい歌を
第74話 ひと粒ずつ珠を手繰り、亡き子の名を夜ごと繰り返していった母のこと
第75話 闇い板間へ、紙ひとはりの昼を入れてやった日のこと
第125話 渋柿を軒に吊るせと言った、よそ者の男
第126話 擦り切れた古い一枚に、寸分違わず仕立てる新しい直垂
第127話 脛に巻いた一筋の布が、歩く人の足を守り、遠い土地まで運んでいった日のこと
第129話 地を掘り水を汲み上げる一つの穴のまわりに、村と町が寄り集まっていった日のこと
第132話 社の護符を小さな布袋に縫いこんで、人が加護を懐へ持ち歩くようになった日のこと
第134話 石と鉄を打ち合わせて火を呼ぶ、懐の小さな道具のこと
室町(33話)
第05話 西国三十三所、旅人たちが道々に残した草鞋の山
第07話 山あいの寺で、夜明け前に鐘楼へのぼる、ひとりの男
第11話 三輪の里の縄に結ばれた印は、何を数えていたのか
第33話 上等な地獄
第34話 寒い家のまんなかに小さな火を据えて、人の寄り集まった日のこと
第37話 捨てるはずだった煮豆が、藁苞のなかで糸を引いていた
第38話 湯気の立つ椀を、みなで回して
第44話 信濃の山家に、囲炉裏を拵えてもらった、そのひと冬
第49話 俵の置き場にされかけた、桂川ほとりの一枚板の縁側
第50話 禅寺の裏木戸に積まれた、幾つもの崩れた白い塊
第53話 京の門前町に現れた、よそ者又八の畳める灯り
第56話 雨宿りの軒先で、藁の目を数えていた小さな指
第60話 神さまに見せる、力くらべのこと
第63話 甕の底で、待っていた味
第64話 京の寺の連歌の座、句を継いでいったある一夜
第68話 板を寄せて竹の輪で締めただけの、継ぎ目だらけの桶
第70話 軒に垂れた一枚の布が、店の名を背負って代を継いでいった日のこと
第71話 空っぽの一畳が、座敷でいちばん物を言う場所になった
第76話 ひとつまみの甘さに、いかほどの値がついたか
第79話 椀の底の飯粒ひとつを、指先でぬぐっていた鎌倉の老いた飯炊き
第80話 花の一瓶をまえに、幾度も抜いては挿し直した男がいた
第81話 一目、また一目
第91話 仏師が幾日もかけて、白木の板に名を彫っていた工房
第92話 肌の下に隠れていた、袖の細い一枚
第96話 死んだ名人の青を、おれは運んだ
第122話 羊のいない羊羹、禅寺の台所で重ねた十一度の作り直し
第123話 粉のほとんどを流し捨てて、なお椀に残った白い塊
第124話 臼を回しつづけた老女の指と、一椀のゆくえ
第128話 骨に紙を貼ったただの仕切りが、絵を負って部屋の「面」になっていった日のこと
第130話 一軒の屋根を葺くために村じゅうが寄り合った、あの草の重なりのこと
第131話 柱に刻まれていく、六十日ごとの一筋
第133話 二人がかりで挽く大きな鋸が、丸太から薄い板を何枚も挽き出すようになった日のこと
第135話 野の祭りで人を笑わせた物真似が、橋がかりを渡って幽玄の舞となった日のこと
戦国(5話)
第08話 神さまへ届ける、一頭の馬のこと
第09話 死んだ人に会える、夏の夜
第18話 夜明け前に置いてきた、火打ち石
第88話 勝ち色、と人は呼んだ
第93話 いちばんしぶといもの
安土桃山(3話)
第20話 珠ひとつぶに勘定をあずけ、奉公の童が指先で数を覚えていった日のこと
第22話 星のかたちの、甘い石
第40話 素足を恥じた若者に、紐で結ぶ一足を縫ってやった日のこと
江戸(12話)
第03話 自分の名を、はじめて書けた日のこと
第06話 裸になれば、みな知り合い
第10話 細く、長く——年の瀬にすするもの
第16話 あの人の癖を、百年あとの誰かに見た
第23話 闇に一刻の灯をともし、夜なべの母と子が縫いついでいった日のこと
第30話 削れば、宝の匂いがした
第31話 桜の下に、身分はなかった
第47話 おなじ船に、見知らぬ神さま
第58話 板の間に、青いひとひらを
第67話 一枚の布が、なんにでも化ける
第82話 歯の減るほどに、粋になる
第83話 親方と呼んだ子の、しわだらけの手
明治〜現代(10話)
第12話 続きは、またあした
第21話 春を運ぶ一枚
第26話 祖母の無地と、娘の薔薇のあいだで
第48話 遠い国へ発つ子の姿を、光と銀で一枚に留めておいた日のこと
第51話 苦い黒の一杯を前に、見知らぬ者どうしが半刻を分けあった日のこと
第55話 消えるはずの声を盤に刻み、もう会えぬ人の歌を家で甦らせた日のこと
第65話 はじめての肉、七十年めの一切れ
第78話 姿の見えぬ遠くの声が、空をわたって長屋の茶の間に降りてきた日のこと
第95話 名のなかった家に、名がひとつ生まれた日のこと
第99話 こうもり傘の波に押されて、古びた蛇の目を張り替えてやった日のこと